【日本語訳】改訂・アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる

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第3部 専門家からのアドバイス

AT/AACを使うとどんなことができる?(8:29 - 11:49)

では,専門家の話を聞きましょう。最初にシャロンロジャース先生。ロジャース先生は1952年から言語療法士をされています。この20年間は言葉の出ないお子さんへのコミュニケーション療法をしています。

質問:AT/代替コミュニケーションは何歳ごろから始められますか?

コミュニケーションは,かなり早い時期から始まっています。赤ちゃんが泣く,抱き上げると泣き止む,それだけですでに社交的コミュニケーションなのです。言葉がなくても,一緒にダンスしているような相互作用があるのです。

(補足)

「触れる」という行為は最高のコミュニケーション手段です。今後,ATの分野でも触覚提示によるコミュニケーション機器の操作支援が広く行われていくはずです。これまで,視覚・聴覚に依存した機器が多すぎました。ハードウェアの限界によるものがほとんどでしたが,ハプティック技術の進化により,触覚フィードバックがたくさん使われるようになるでしょう。

質問:AT/AAC を使ってどんなサポートができるでしょうか?

おそらく一人一人サポートの仕方は違うでしょう。Universal Design of Learing によると,指紋がみんな違うように,それぞれの学び方も違うと言います。なので,その子の特質や独自性を見ながら教える必要があります。

ダニース・マーラー先生です。特殊教育の教師であり,AT の専門家でもあります。約30年重複障害の生徒と関わっています。

質問:AT/AAC を使ってどんなサポートができるでしょうか?

まず,何が分かっているか,知っているかなど,その子どもの基礎的な部分を理解し,どんなふうにコミュニケーションしようとするか知ることです。

新しい生徒が入ってくると,私は最初の2週間,オムツ替えからすべての世話をします。その間に色々話しかけます。例えば,「あなたの膝を触るよ」といって鼻を触ってやります。それでどんな反応をするか見ます。

また,「膝を曲げてごらん」といってその子が膝を曲げたなら,「あは!わかってるじゃん!」そしてそこからスタートです。常に問いかけながら反応を待ちます。どんな問いかけにどんな風に反応したかをチャートにつけて,適切なコミュニケーション方法を見つけていきます。

デイル・アームストロング先生です。理学療法士を30年されています。神経障害の患者,特に重複障害を持つ子供を専門に診ています。

質問:AT/AAC を使ってどんなサポートができるでしょうか?

子供たちは動きや遊びなどの活動を通して学んで行きます。活動することは他と関わる機会を増やし,参加する能力を高めます。

(参考)

「遊び」は子どもの脳を健全に成長させます。そういう意味では,動きにくい子どもに対しては,積極的に遊ぶ機会を外部から提供していく必要があります。できるだけ触覚とともに行う必要があるでしょう。

iPad の小さな画面に表示されただけでは「遊び」になりません。たさん触って・動いて・声をかけて脳をたくさん刺激しましょう。スイッチや視線入力操作にも感覚統合がとても重要です。

私は理学療法士として,体を支える機能や運動する機能を強化することで活動レベルが上がるよう,またそれによってコミュニケーション器具を効果的に使えるよう訓練をしています。

親や他の専門家へのアドバイス(11:50 - 13:14)

質問:親や他の専門家へアドバイスをお願いします。

まず,障害があるからと子供を過小評価しないことです。彼らのできることには驚かされるでしょう。コミュニケーションする機会を与えること。コミュニケーションできるような環境をいつも作ってあげることです。

私は常に彼らの声や反応がとても大事だと感じられる環境を作っています。「何か言いたいの?」とか,「ここに居たくないからそんな風に振る舞うの?」など常にその子の気持ちを考え代わりに言葉にしてあげてその子がどう反応するか見ます。

質問:親や他の専門家へアドバイスをお願いします。

障害があってもまず最初に一人の人間としてその子を見ることが本当に重要です。マイケルは障害を持っています。「マイケルと言う名前の障害」ではないのです。

一人の人間として見ることで,その子にもある程度の機能レベルや理解力のレベルがあることがわかり,他とコミュニケーションする能力があるのだということに気づくでしょう。

まとめ(13:15 - 14:25)

重複障害を持つ子供たちは私たち健常者に多くの貢献をしてくれています。「この子の親になってより素晴らしい人間になれた」と話す親御さんや「以前に見えていなかったものが見えるようになった」と言われる親御さんもいます。

筋ジストロフィーを持つジョエルという女の子がいます。私はお世話されている看護師さんに「あなたは毎日新しいことを学んでいるでしょうね?」と聞いたら,「そうですね,世界を6周回って全ての大学のコースを受け勉強したとしてもジョエルから学ぶこと以上に学べることはないでしょう,神様や人生について。」と言われたのです。

このビデオを見ている方に知ってほしいことがあります。

重度の障害を持っていても彼らはちゃんと考え,感じる能力を持っています。誰とでも話をしたいと思っています。

そして彼らも私たちと変わらない同等な社会の一員なのです。

あなたも重複障害者に対する意識を変え,彼らが生活向上につながるATをもっと利用できるよう協力を惜しまない人になってください。

きっとあなたの人生も変わることでしょう!

参考情報(14:26 - 14:49)

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