コミュニケーション≒クスリ?

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20141113_01

松江城のお堀近くに住むALS患者のKさんと。
意思伝達装置「伝の心」を使いこなしています。
きわめて顔色は良く、呼吸器さえなければ普通の元気なおじさまです。

私には一つの仮説があります。
「意思伝達装置を上手に使いこなしている人はALSの進行が遅くなる」
言葉をかえれば、
「コミュニケーションを保っている人はALSの進行が遅くなる」。

統計的に有意なデータはまだありません。
この仮説は私だけでなく、他の人からも聞いたことがあります。
つまり、各人の経験からそのような現象を感じているようです。

客観的に考えれば、進行の遅い人が意思伝達装置を上手に使いこなしていると言えるかもしれません。
しかし、使いこなしている人が、療養環境の変化(レスパイト入院等)で突然使えなくなり、進行が一気に進んでしまった例がいくつもあります。
もちろん、そのタイミングがALSの進行とたまたま一致したとも考えられます。

もし、ほんとうにコミュニケーション環境の保全が薬のような効果をもたらすのなら、それを維持するのはもはや義務のようにも思います。
だれの義務とはいいませんが、本人が望む限り最大限の手当てがあってもいいはずです。
現状ではALSの特効薬はありませんし、ここ数年で登場するようにも思えません。
そうなれば、比較的取り組みやすい意思伝達装置の利用環境改善は、もっと優先順位を高めるべきです。
導入と利用継続について、公的サービスとしてメニューを増やすべきでしょう。

しかし、実際のところは、意思伝達装置などはある種の趣味の分野のような、好きな人だけが使っているのが現状です。
中部学院大学井村らの調査では、ALS患者の意思伝達装置の全国平均利用率は17.6%※。

※ 第19回日本難病看護学会「ALS患者における重度障害者用意思伝達装置利用率に関する調査」

また、利用継続についても野放し状態です。
そこまでではなくても、導入したはいいけども、サポートがないためにすぐに使わなくなった人はたくさんいます。
きちんと使い続けるには、人のサポートが必要なのです。

さて、先の仮説はしっかりとデータを取らない限りはただの都市伝説です(ここは松江ですが)。
ただ、かならず有意な結果が出ると信じています。
いつかは検証したい仮説です。

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