【前半】重度障害児・者は「ニュータイプ」候補生?
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2019年6月のエントリーでこんなことを書きました。
その思いは今でも変わらず、むしろ増しています。
修行僧があえて過酷な環境を求めて精神性や身体能力を高めるように、重度障害児・者は生きていることそれ自体が修行の環境ともいえ、その結果、私たちには思いもよらぬ能力を高めている可能性があります。
ガンダムでいえば「ニュータイプ」。
時空を超えた非言語的コミュニケーション能力を獲得し、超人的な直感力と洞察力を持つ、新しい人類とされる人間を指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97
ニュータイプが生まれる背景にあるのは、宇宙での生活環境に適用した能力の獲得があります。
(ガンダムの話の中ではありますが。。。)
人類が数百万年の進化の土台となった地球ではない、宇宙という環境に最適化されたことで、普通の人類(オールドタイプ)にはない能力を得たわけです。
その理屈は、今の重度障害児・者にも当てはまります。
つい20年くらいまでなら、医療制度・医療機器や医療技術の制限により生き延びることができなかった人たちも、今では比較的安定して生きることができるようになりました。
その状態は、人類にとってはほとんど想定してなかった生活環境なのかもしれないのです。
私たちは生物である以上、生命の危機に対しては高い感度があります。
暑い寒いはもちろんのこと、まずいうまいや痛い気持ちいいなどもそうでしょうし、重度障害児・者は多くの他人のサポートが必要なので、「人を見る目」の能力も研ぎ澄まされている可能性があります。
また、身体が自由に動かせないので、見えないものを感じ、推測する能力も高いのかもしれません。
事実、そのような事例をいくつか体験しています。
私自身、がん治療の副作用で数日間ほど寝たきりになるとき、家の中のささいな物音や気配には、元気に動けるときとは比較にならないくらいに敏感になります。
そう考えると、重度障害児・者の中にはニュータイプともいえるような、高い感度をもった人々がいると考えてもおかしくはありません。
にもかかわらず、重度障害児・者の能力評価は、われわれオールドタイプの軸で決めてしまっています。
見た目は確かにわかっていないように見えても、実はオールドタイプの想像を超えたセンシングをしている可能性があるのです。
かの正岡子規は、34歳のときに病床に伏せ、次の言葉を残しています。
病床六尺、これが我世界である。しかもこの六尺の病床が余には広過ぎるのである。わずかに手を延ばして畳に触れる事はあるが、ふとんの外へまで足を延ばして体をくつろぐ事も出来ない
https://www.aozora.gr.jp/cards/000305/files/43537_41508.html
過酷な身体状況の中、かつてないほどの創造性を発揮し、寝たきりのまま数々の作品を世に残しています。
正岡子規の創造性は病あってのものだったのです。
オールドな時代のニュータイプ。
マッチョな正岡子規だったら、今の正岡子規はなかったといえるのかもしれません。