【おすすめ】やっと見つけた!NHK総合「星の王子さまに会いに行く(2000年)」

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20年以上前に観た番組、NHK「星の王子さまに会いにいく 〜サン=テグジュペリが砂漠で考えたこと〜」。

今の時代だからこそ、必要なメッセージが詰まっています。

そして、音楽・映像のみならず、ナレーションもすばらしい。

備忘録として、ナレーションをメモ。

サンテックス(サンテグジュペリ)は、知っていたんだ。

灰色のつまらない石の中に、キラッと光る宝石が隠れている。
磨けば輝く石もある。
それを見つけ出すこと、それを磨くこと。
本当を言うとさ、飛行機はそのための道具だったんだ。

飛行機は人間に厳しいことを要求する。
無理なことを強いる。
それに応えられないと、ひどい目に合う。
山の中に置き去りにされたり、海の真ん中に落とされたり、ケガをしたり、死んでしまうこともある。

そうやって、飛行機は人間を鍛える。
つまり、飛行機は人間を磨いているんだ。
キラキラ輝くまで磨いているんだ。


(中略)

「規則」というのは宗教の儀式のようなものだ。
見たところは不合理だけけど、しかし、人間を鍛えてくれる。

でも、普通の人間にはそれがわからない。
みんな甘えて勝手なことばかり言っている。
みんな自分の中にある宝石に気が付かずに、自分を磨かずに石の姿のままでわがままを言っている。

サンテックスはずいぶんつらかった。
真剣にものを考える人だったから、真剣に悩んだ。
それに彼にはいくつになっても、大人になりきらないところがあった。
世間に慣れないところがあった。

大人だったら「まあ仕方がない」とか「まあそんなものだよ」とか、いい加減に妥協するよね。
でも、子どもは納得できないことは認めない。


(中略)

戦争って、本当にひどいもんだ。
まるで世界全体が崩れていくようだった。
きれいに洗って、きちんと畳んで重ねてしまってあったシーツやタオルが、乱暴に庭先に投げ出され、踏みつけられ、泥まみれになり、雨に打たれる。
人の心もそうやって、泥にまみれ汚れていく。
みんなの暮らしから、秩序というものが失われる。

一番大事にされなければならない子どもたちがひどい目に合う。
家から放り出され、親から引き離され、食べ物を奪われ殺される。
戦争は、人々の心を荒らす。


フランス人同士でも、小さなグループに分かれていがみ合った。
サンテックスの悪口を言いふらす者も多かった。
彼は孤立した。

サンテックスには全体が見えていた。
でも、遠くまで見える者が何か言っても、近くしか見えないものはそれを聞かない。
近くしか見えない者は、遠くまで見える者を嫌うんだ。
人間の世界って、案外そういうところなんだよ。


そんなつらい時期に、サンテックスはアメリカで自分にとって一番大事なことを、子どもに向かって語ろうと考えた。
大人にしかわからない知恵は、本当の知恵じゃない。

(中略)

愛するということは、お互いの顔を見ることではなく、一緒に同じ方向を見ることなのだと。
一緒に遊ぶことが、友達を作るんじゃないんだ。
同じ目的に向かって肩を並べて進む者が、一緒に苦労する者が、長く続く友情に結ばれる。
どうも、そういうことらしいんだよ。


(中略)

サンテックスはね、人間が素晴らしい能力を持って生まれてくるのに、それを無駄にしているが悲しかった。
時間をかけてゆっくりやればいいことを、急いでやってダメにしてしまう。
他人を支配しようとして、押しつぶしてしまう。
見た目ばかりで判断する。
何でも数字にして、それでわかったつもりになる。
他の人を見ないで、自分が全部の中心だと信じ込む。

こういうことって多いだろう?
大人がやっていることって、こういうことばかりだろう?


だから、一番大事な主人公を子どもにした。
王子さまにした。

こんないい話を書いたのに、サンテックスはとても疲れていた。
もし、王子さまが彼のところに来ても、にっこりできないくらい疲れていた。

NHK「星の王子さまに会いにいく 〜サン=テグジュペリが砂漠で考えたこと〜」

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