支援学校の授業風景を変えつつある視線入力
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福岡の福島さん。
くくりだすと,福(岡の島)さん。
勤務されている支援学校にて,出雲国大学謹製の EyeMoT シリーズを実によく使ってくれています。
きちんと授業で活用しており,さらには動画を公開しています。
個人情報を盾に,情報を共有したがらない業界において,福島さんのようにどんどん動画を共有していくというのはほんとうに頭が下がります。
ここでは,それらのうち,視線入力に関する3つの動画を紹介いたします。
まずは,視線入力の初歩的な訓練を行っているシーン。
前半はEyeMoT 2D ,後半は Look to Learn (外部サイト)ですね。
実はこの動画には,視線入力をうまく使う上でのエッセンスが凝縮しています。
ポイントは,ざっくり分けて3つあります。
わかるでしょうか?
1つ目,パッと見て分かるのは,使っているディスプレイが比較的大きいということです。
これにより,あまり視線入力に慣れていない人でも使いやすくなります。
逆に,ディスプレイが小さいと,少しの目の動きが画面上では大きな動きになってしまいます。
それではうまく使えるわけがありません。
2つ目は,このディスプレイを固定している器具 パソッテルを使っているということ。
まさに定番の固定具!
コレなしには安定した視線入力は行なえません。
『視線入力は固定が8割』!
そして,最後の3つ目は子どもの姿勢です。
やや後傾したした姿勢は頭部の安定に欠かせません。
この子の車いすには比較的しっかりしたヘッドサポートが付いているので,視線入力にはいい影響を生み出していそうです。
姿勢とリンクして,ヘッドサポートは実に重要ですね。
つまり,視線入力を活用するということは,ただ視線入力装置を用意してソフトを使うということではありません。
安定して使用するには,使用者本人の着座環境とディスプレイの固定を含めた一式の手当が必須です。
次はこの動画を観てみましょう。
何気なく遊んでいるこのゲームは,「成功体験」を積むことを目的としたもの。
絶対に失敗させない!!!ことをテーマにして開発したものです。
いくつか技術的な工夫を加えており,22インチ以上の大きなディスプレイでやれば,まず失敗しません!
視線入力はうっかり使うと簡単に失敗します。
このページをご覧になっている人は,おそらくそれを体験したことがあるでしょう。
子どもたちには不用意な失敗をさせてはなりません。
なぜなら,子どもたちは普段から「できない」ことを嫌というほど体験しているからです。
ワクワクして使ってみた道具で,カジュアルに失敗させてはなりません!
最初の体験で失敗させてしまっては,もう次はないからです。
この子は首の保持がしっかりしていますので普通に座ってやっています。
かなり集中していますね。
どんどん風船を割って,この子なりに楽しんでいるのがわかります。
さて,EyeMoTシリーズは共通機能として,「視線履歴」や「ヒートマップ」を表示するようになっています。
視線履歴が画面全体に分布していれば,たいていは随意的にできていたことを示します。
一方で,狭い範囲にかたまっている場合は,うまく画面を見ることができてないことを示します。
そう,ゲームを通じて,ちゃっかり視線入力スキルをアセスメントすることができます。
きちんと練習を積んでいけばゲームはできるようになります。
バイブマンを併用すれば因果関係の理解を加速することも可能でしょう。
とはいえ,仮にゲームができても文字を練習させないと意味ない!という方も多いでしょう。
まだまだ不十分ではありますが,ひらがなを練習するゲームも用意しています。
50音のひらがなを注視操作で入力していくものです。
このゲームにもいくつかの工夫があります。
どこでしょうか?
動画をよく確認すればわかると思いますが,「タイプミスは無視」しているのです。
たとえば,「い」を入力する指示があれば,その隣の「き」や「う」をタイプミスしやすいものです。
この練習ゲームでは入力中の失敗は一切表示させません。
通常の文字入力システムを使ってしまった場合,間違った文字列もどんどん入ってしまいます。
「いとう」と打ちたいのに「うういいおおおおとううううう」となるように。
つまり,このゲームは安心して失敗できるのです。
ただし,システムとしては失敗の数もカウントしているので,ゲーム後にはしっかり正解数と失敗数を表示します。
これを我々は「失敗体験のコントロール」と呼んでいます。
視線入力という操作手法は,さまざまな用途に応用可能です。
重度障害者にとっては,ポテンシャルがきわめて高い方法ですから,不用意な失敗をさせてしまい将来の芽をつんではなりません。
慎重になりすぎるのも問題ですので,ぜひ楽しみながら練習をしていってほしいものです。
福島さん,これからも活用していってください。
ゲームはどんどん改良していきます!
頭の動きを極力少なくする という点で、VRに使われている ディスプレイの視野を頭の動きで動かす 方法を
応用できないでしょうか。 頭に何らかのセンサーを固定する必要がありますが3軸のセンサからデータを得て画面上の視点の固定に結びつくように頭の動きをキャンセルすることは可能ではないかと考えました。 キャリブレーションが必要になると思いますから少々セッティングには技がいるでしょうが、可動域の最大値でセッティングするだけならソフトウエア的にも課題は少ないように思います 視線感知側の固定が不十分でPC側が揺れてしまっても双方向で情報処理すればキャンセルすることができるという発展形もあるのではないか・・・ 妄想に近い話になりました。何かのヒントになれば幸甚です。
ジャイロセンサを使えば可能です。
私たちも試作はしていますが、ドリフトが出てしまったり、機器の装着が避けられないので、いまはやってません。
画像で頭部の動きを検出する方法もやりました。
最近よく使われている視線入力装置Tobii EyeTracker 4C にはヘッドトラック機能があります。
ヘッドトラックの商品としては、これがいい感じですね。
http://www.ttools.co.jp/product/hand/zono/index.html
その他、いろいろありますが、視線入力はまったく体が動かない人でも使えるので応用範囲が広いかなと考えています。
あとはメガネ型が安くなれば完璧です。