秋田県立能代支援学校教諭の高橋正義さんによる報告書です。
高橋さんは前任校のきらり支援学校時代から積極的に視線入力に取り組んでおり,現任校では切り口を少し変えてがんばっています。
前任校での報告書は,こちらの「秋田県立きらり支援学校(高橋ら)」からご覧いただけます。
I 研究の背景
「重複障害児の〝夢〟を支援機器を活用して拓(ひら)く」
昨年度までの3年間、顕彰会様から頂いた研究助成によって、肢体不自由児の学習活動において視線 入力装置を活用して事例研究に取り組んできた。これまでの研究成果1)として次の2点が挙げられる。
- 視線入力装置を活用して継続的に視線入力トレーニングに取り組んだり、児童の認知発達の段階 に応じて学習したりすることで変容が見られた。
- 支援機器を活用することで学びの方法や身近な人とのコミュニケーションの在り方が変わった。
本年度から本研究の主筆は知的障害のある児童生徒が学ぶ、秋田県立能代支援学校に異動した(以下 本校)。本校は県北部に位置する知的障害特別支援学校であり、児童生徒数は 80〜90 人台で推移してい る。知的障害特別支援学校であるが、肢体不自由(全体の 10%)や発達障害(全体の 30%)を有する 児童生徒が在籍し、障害の重度重複化と多様化への対応が課題となっている。
本校小学部の第6学年に肢体不自由を有し、発語で伝えることは難しいが視線の動きやまばたき等で 身近な人に働き掛けたり、制限はあるが手指の動きで学習に取り組んだりしている児童が在籍している (以下事例児)。これまで顕彰会様から頂いた研究助成によって得た支援機器の活用に関する成果を活 かすことによって、事例児の学習や生活を拓(ひら)くことができると考え、本年度も継続して実践研 究に取り組みたいと考えた。