一見、色白のかわいい女子大生ですが、とんでもないド根性ムスメなのです

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くまもん県の色白の女の子。

中学２年生のある日，突然身体が動かなくなり，目も見えにくくなりました。
聞こえにくくもなり，さらには，触覚もほとんどなくなりました。
それでも，今は女子大生になり，教員を目指してがんばっています。

２か月ほど前に以下の文で始まる相談を受けていました。

私は現在、高校公民の教員を目指してます。来年の５月～６月に教育実習があるのですが、（略）

その文には非常に具体的に，以下の項目で教育実習で遭遇するだろう困難を，明解に整理していました。
ごく簡単に要約すると，予想される困難の内容はこのようなものでした。

• 肢体不自由：モノの運搬・校舎の移動・教室での見回り など
• 視覚障害：生徒が手を挙げていてもわからない・安全確保ができない など
• 聴覚障害：生徒の声が聞こえない など
• 発声の困難：どんな道具をつかったらいいのか など
• 機器の操作：片手で扱えるのか など

この通り，肢体・視覚・聴覚に身体障害があります。
先日，ちょうど近くを通りがかることがあったため，様子を見に行くことにしました。
やはり，実際に会わないとわからないことがほとんどだからです。

会うのは去年の５月のDontac以来２度目のようですが，前回はきちんとお話ができませんでした。
実質的には初めて。
テキストメッセージでのやりとりでは，視覚・聴覚・四肢に不自由があるものの，不自由もなく文字入力できていました。
また，大学にも通っているとのことで，障害の程度は自分なりになんとなく想像はしていました。

最寄りの駅から送迎していただけるということで，駅前で待ち合わせていたところ，まさかの本人の登場！
わざわざ車を降りて，お母さんに車いすを押してもらってやってきました。
きっちり座っていますし，普通の車いすのかわいい女の子って感じです。

しかし，会ってみて話してみると想像以上に多くの困難を抱えていることがわかりました。
主疾患であるギランバレー症候群だけとは思えないさまざまな機能不全。
盲ろうとまではいかないまでも，それに近い状態です。程度としては，盲ろうだそうです。
皮膚感覚も味覚も失われつつあり。。。

それでも，手話や点字などを独力で覚えたとのことです。
自学習のために視線入力装置を導入したり，自ら資料を電子データにしてPCで読んだりと，もう立派なATスペシャリストといえるレベル。

一番驚いたのは，「勉強したい！」という強い思いと根性です。
この気持ちが伝わってきたとき，私の持てるリソースはいくらでも投入するぞという決心がつきました（有効かどうかは別として）。

人並はずれた根性の一端は，この膨大なページ数の辞書みたいな資料からわかります。
ひとりで，しかも力の入りにくい片腕だけで全ページを３日ほどでこの分厚い資料を電子化したそうです。
6,000ページだったかな。

大学の試験で急に必要なことががわかったからだそうです。
これを裁断もせずにフラットスキャナで取り込むのは，普通の根性では無理でしょう。
私はぜったいできる気がしません。

机を見ると，点字の学習手引き・ラミネーター・デコったキーボード・各種タブレット・視線入力装置 などさまざまな道具が。
果てはホットボンドまで！
自分で作るのが好きなのですね。

見た目は，普通のかわいらしい女子大生。
それとは裏腹にさまざまな障害を抱えており，普通の人なら何気ないことにも困難を抱えています。

ただし，今となっては彼女に悲壮感はありません。
きわめて前向きで，明るいお母さんと一緒にナイスコンビで大学に行っているようです。
もちろん落ち込んで時期もあったようですけども。
将来の夢を実に具体的に描いていますし，それを実現するための努力をしっかり行っていると感じました。

帰りは新幹線ホームまで見送りに来てくれました。
スマホのカメラ機能を拡大鏡にして新幹線を見ていたのがかわいらしかったですね。

今回の訪問では，ぜひブログを始めてほしいとお願いしました。
今の彼女の毎日を多くの人に知ってもらい，今後の支援に活かせるからです。
そして，その記録自体がほかの誰かに役立つに違いありません。

• 重複障害者である私の日常
  教員になれるように大学で勉強をしている、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害のある大学生です。

11月5日の「視線入力シンポジウム in 出雲国」にも来てくれるそうで！
楽しみですね。