【生回答】重度障害児とプライバシー

Views: 188

重度障害児・者による視線入力アート~作品&人生ストーリー集~」では、作家である重度障害児・者の情報をふんだんに盛り込んでいます。個人名はもちろん、居住地・疾患名・生年月日・親の名前および顔写真などです。

ある読者の方から、感想投稿フォームを通して「個人情報保護を蔑ろにしてないだろうか?」というご意見がありました。寄せられたご意見&感想は作家関係者と共有しており、すぐに親御さんからいくつか回答が集まりました。

テレビニュースでも、重度障害児の顔をぼかしたり、モザイクをかけたりするのがまだまだ珍しくありません。特別支援学校でも個人情報保護にたいへん気を使っています。では、当事者にもっとも近い親御さんたちはどんな思いなのでしょうか。

以下に、私の回答を含め、公開の許可が得られたものを紹介します。

重度障害を持つ親の総意ではないかもしれませんが、間違いなくその一部ではあります。


伊藤史人
さまざまな個人属性を掲載したのは、ひとえに「ありのままをお伝えしたい、知ってもらいたい」に尽きます。それにより、同じような境遇で悩み苦しんでいる方の助けになり、巡り巡って発信した人のためになると考えているからです。
本冊子は一見画集のようですが、実のところイラストは各人のナラティブを補完するための挿絵です。人生ストーリーをよりリアルに感じてもらうために、イラストを筆頭にして、さまざまな個人属性も含めました。
なお、私自身がステージ4の肺がん患者であり、病気をカミングアウトして活動しています。秘密にすることもできますが、知ってもらった方が、適切な支援や理解が得られます。その結果、生きやすく働きやすくなっていると感じています。


A.Y
ご意見ありがとうございます!
私の娘は珍しい難病ということもあり、新聞、テレビなどでも取材を受けてきました。
その度に個人情報のことを心配してくださる方がいらっしゃいます。
親の私が娘の了解を得たかと言われたら、娘は「いいよ」と言った訳ではないです。
娘は重度知的障害なので、あーうーとしか言いません。
ですが、余命2年と言われた娘が誕生日に生まれて、障害と一緒に地域(島根県)で9年間生きてきました。その事実を記録で残せたことは本当にありがたいと私は思っています。
同じ病気の方はかなり少ないので、この場で同じ病気の方がおられて、親近感がわいて、ご縁が繋がり、嬉しい気持ちになりました。
そして、何より「障害名ってなに?個人情報ってなに?」と娘が思っていると私は感じています。
障害名はお医者さんからのあだ名で、娘は娘なので、そんなに重要には思っていません。
病気を診断されて、家で閉じこもって絶望的になってた私と娘は笑えない時期がしばらくありましたが、今こうして笑うことが出来たのは、隠さずオープンにしてきたからです。

これからも沢山の人と繋がっていきたいので、このスタイルで生きていきたいと思います♪


A.Y
健常者とか障害者とか関係なく、各家庭の考え方が大きいのかな?というのが正直な気持ちです。
SNSでも子どもの名前や顔を出さない方は障害なるなしに関係なくとても多いですが、それでもあえて私は子どもの名前や顔を出しているし、自分の気持ちを良いときも悪いときもさらけだしていて、それを色んなふうに受け取る人がいるのは分かりますが、同じように悩んでる人と一緒に悩んだり励ましあったりできていることが心の支えになっています。
最初のきっかけは伊藤先生のセミナーで「SNSで発信しましょう!情報を出さない人のところに情報は集まらないですよ!」というお話でした。
それまでは自分たちのことをよく知っているごく一部の人たちにしか公開していなかったのですが、情報収集に限界を感じていたこともありよい機会かもと思って全公開に変えました。
そうすることで声をかけてもらう機会がグッと増えて、わたしたちのモチベーションはさらに上がりました。限定公開のときとは比べものにならないくらい情報交換できるひとが増えたし、たくさんのご縁が繋がりました✨️
やっぱり顔や名前、背景が見えることで目に止まる、心に刺さることがあるのだと思っています。
まぁそんな重く考えていたかと言われればそうでもなくて笑
子どものがんばりや、やっていることがたくさんの人の目に触れて「すごいね!」「応援してるよ!」と言ってほしい究極の親ばかですが藍
わが子のプライバシーが蔑ろにされているという見方があるとは思いもしなかったので、今回のご意見は聞けてよかったですが、ここまでさらけ出さないと恐らくわたしたちの身近にいる学校や病院の先生たちでさえもわたしたちの生活や気持ちは見えないと思います。
ただ障害がある子どもたちが描いた絵をまとめただけでは伝わらなかったものがこの冊子からは伝わると思います。
これはただの絵を集めた冊子ではなくて、障害や病気とともに生きる家族の物語だと思っています。それが様々な環境の方々へ伝わるためにはこの情報量が必要なんだと思います。


M.K
おはようございます。
私も意見は被りますが、今まで情報をすべてさらけ出してお伝えすることで、得られたことがたくさんあります。
特に医療分野に公開をすることで、国の制度を動かすことに貢献でき、医療者から感謝を言われたこともあります。

うちもそうですが、公開されるご家族の大半はオープンにお伝えすることで、日々の生活に活力が出るというメリットと、自分自身も誰かの公開情報によって救われた経験などもあり、同じようにどなたかのお役に立てればという想いの方が多いのではないでしょうか?

そしてオープンにして活動をしていることで、たくさんのご縁に恵まれ、今回のような機会もいただけたと思っています。

ですが公開することで、今回いただいたご意見のような考え方の方は他にもたくさんいらっしゃるだろうなと改めて感じることが出来ました。

今回の本への掲載に関しても、重心児なので本人からどうぞと言われたわけではなく、自慢のわが子の作品を紹介したいという親の勝手な想いだけかもしれませんが、こうやってカタチにしていただき、たくさんの方の目に触れることによって、「すごいねー!」「ステキだねー」「重心児でもこんなことが出来るの⁉︎」って、褒められたり、驚かれたりすることによって、ドヤ顔になっている子どもの表情を見た時に、良かったという気持ちと今回の本の出版のありがたみを感じていました。

貴重なご意見をありがとうございました。


K.M
貴重なご意見ありがとうございます。

障害当事者を大切に思ってくださっていることが伝わってきました。
「障害者個人のプライバシーが蔑ろにされているように映る」
というご指摘に、はっとさせられました。

少し論点がずれてしまうかもしれませんが、
もの言わぬわが子の意思を読みとるのは、本当に困難なことです。
それでも必死に読み取ろうとし、落としどころを見つけることを諦めずに続けてきています。

今回の作品集についてもそれぞれの親子さんで、同様のやり取りが行われての制作となっていると思っています。

何事にも本人の意思を読みとる努力を今後も続けていくことはもちろんで、プライバシーの保護についてもより真剣に本人とやり取りを重ねなければと思わせていただきました。

ありがとうございました。


A.O
我が家は情報に救われたので、公表にやりすぎと言われる点にハッとしました。

出生まもなくして病名を告げられてこの子の予後が知りたく、検索してヒットするのが医療者向けの病気の説明文(だいたい暗い内容)で、当時はやっと数名のママたちのブログに辿り着くことができ、明るい話題を希望に前向きに考えることができるようになりました。

史人先生の公開することで情報が集まってくるという言葉に私も初めは勇気が必要でしたが、我が家の情報が誰かに役立つと良いなという思いもありSNS発信をスタートしました。記録にもなるしモチベーションを上げるのにもとてもいいなと思い、何よりも楽しいので続けられています。そして、続けることでこうしてみなさんと繋がることができました☆

また、このアート作品集で全国でこんなにもひろがっている活動です、もっとやりたいと思う人に平等にこのチャンスが訪れますよう、近くで活動している方々と繋がれるといいですね♡という前向きな思いしか有りません。

写真、病名、年齢、地域、どれも貴重なデータで、比較するのに全く意味はないけれど、親近感やイメージを膨らますのに必要なものと思います。


K.I
私も子どもが支援学校の時から、学校を卒業しても研修会やリハビリ先でも資料の一貫で子どもさんを紹介させてもらっていいですか?と聞かれることが多く、他の方たちにこの子達のことを知ってもらうのであればと悪いことをしている訳では無いので別に顔出しNGでもありませんでしたが、今回の事でこういう捉え方をされる方もいらっしゃるんだと知る事ができました。
私も視線入力アートに我が子も参加できた喜びで冊子が出来上がった時も、色んな病名など知る事ができました。まだまだ知らない病名を知る事、他県の方達のこれまで子どもさんとの取り組みや生活なども冊子を通して知る事ができたのも本当に勉強になったことや、同じ家族会の方たちと視線入力の勉強会もできて、他の子供さんの事も目にするいい機会を設けられて自分としてはプラスな事が多かったです。
皆考えは色々ですから、深くは捉えていませんでした。
いい経験をありがとうございました、という事は間違いなく言えます。


D.K
私は今回は新聞記者としての関わりなので、回答していいか微妙ですが、個人的には妻が統合失調症なので、精神障害者家族という立場です。
で、家族としての経験について、よく講演頼まれますが、妻の了解の下、名前も年齢も全部オープンにしてます。写真も見せます。
理由は三つあって、一つは、オープンにしないと世の中の理解が深まらないから(精神はクローズが多い)。
二つ目は、もし私がコロッと死んだら、妻がみなさんのお世話になるかもしれないから。知っててもらった方がいい。
三つ目は、隠そうとしたって、どうせバレるんだから、無駄な労力を使いたくない(周囲には、クローズで頑張って、周囲にサポートを求めず、全部抱えてるご家族もいます。オープンにして、周りに頼った方が楽だと思うんですが、その判断にとやかくは言えないし…尊重してます)


M.N
ご意見くださった方からは当事者のことをとても尊重してくださっている思いが伝わってきました。ありがとうございます。

初めは小さなコミニティー(新聞掲載)での応募から始まって、思いの外盛り上がっていき、結果広く人の目に留まるものとなっていったわけですが、そうなると冊子の公開情報に対して様々な感じ方をされる人が出てくるのはごく自然なことかと思います。

フルネームに生年月日も書かれている部分に関しては、ここまで広く配布されるとなると少し心配ではあります。

でも画像や障害名に関してはこれまでにYUNA+の活動で娘も私も公表していて、私たちの現状を広く知ってもらうことで共感し合える方とのご縁になっているし、新しいものが生まれるきっかけになったりもしていて、誰かのためになるなら障害を持っていることは伏せるものではないように感じています。
もちろん娘にもその都度伝えて了承をもらっています。

それよりも私たちは今回、娘が作家さんになれたことが嬉しかったし、立派な冊子にまでなったことが嬉しかったし、娘の作品が全国に渡って残せたことが生きた証になっているようで嬉しいです。

こうした様々な活動に娘が参加することで、みんなと同じ世の中・社会の中で娘も生きているんだよ。とこれからも伝えていきたいと思っています。

声を出せないので口頭での返答はできませんが、伝えることに瞬き等で返事をもらっていて、今回の応募のことも確認・了承済みです。

貴重なご意見、ありがとうございました。


Y.S
質問者の方のご意見から、障がいがある私たちの子の事を心配してくださってのお気持ちが伺えました。
日々、我が子の頑張りを見つけるとSNSに挙げることに慣れているご時世柄、はっと気づくきっかけとなりました。ありがとうございます。

私は、かつて我が娘の取り組みが、ある掲示板でスレッドもたつほどのいわゆる炎上案件となった過去があります。
『医療的ケア児、地域の小学校へ入学したい』動きをしており、TVでも取り上げられたことがきっかけです。
主人の職場、きょうだいの名前、写真、、色々と特定され晒され。
あることないこと言いたい放題。
顔も知らない人が言ってるのか、いや知り合いが情報提供しているのか・・?TV放映は断ればよかった?でも障がいある子が地域で暮らしていく理解を広めたい大きな目的があるし!なぜこんなにつらい想いをする必要があるのか、と私自身が相当参りました。

ですから質問者の方が言いたい事、すごくわかります。

しかしこの本へ参加された障がい児の親御さんのお気持ち、想いも、やはりとってもわかります。

誌面は個人や個人が持つ障がいまでもが特定できる情報掲載であることはこの本に関わるご家族は理解の上であり、そのデメリットよりも、メリットが勝るからと感じ信じています。
様々な方がこの本を手にし、応援する気持ちを向けて下さったり、新しいチャレンジに誘って下さったり。
お顔やお名前がわかるからこそ、直接その声が我が子へ届くことはすごく嬉しいものです。

情報を開示することで新たにつながりができたことや社会が変わるきっかけづくりへ貢献できたという出来事は、そもそもの閉鎖的な生活環境に落ちいり、情報を得られないでいがちな当事者家族にとって本当に尊い大事(おおごと)であります。

しかしご指摘いただいた点は、確かに何かの際にはこの本の記載データ(も他所へ出している情報)も、よくない使われ方をするかもしれないことは自分の経験からも言えます。

自己防衛のための守秘と、こどもたちの存在証明のための開示はこれからも悩ましい所であります。
そうそう、かつてのスレッドは「見ないが一番!」と切り替え、目の前の自分事に集中したことで打開しました。

ご心配いただいて本当にありがとうございます。
また、色々と考えるきっかけをありがとうございました。


T.T
個人情報や障がい児者のプライバシーについてご心配いただき、ありがとうございます。
ご自身もおそらく日頃から個人情報やプライバシーについて色々考えておられる方なのかなと存じ上げます。

さて、地域名・疾患名などの掲載についてですが、ここでひとつ想像していただきたいことがございます。

ご自身またはお子様、周囲にいる大切な方が難病患者や障がい者となった(告知された)とします。
その時にどういった行動をされますか?

成長したらどうなるのだろう、予後はどうなのだろう、生活はどうしているのだろう、できる事はどんなだろう、楽しめる事はあるのだろうか?周りで支える人たちはどんな思いで寄り添うのだろうか?などなど…

もしご自身や大切な人が病院で告知された場合、難病や障害を告知され大きなショックを受けている中で、おそらく多かれ少なかれ上記のような心配事や先のことをネットや書籍などを利用して、藁にもすがる思いで情報を集めようとするのではないかと思いますがいかがでしょうか?

どの情報に共感を持ち、どこに親近感を持つかは人それぞれかと思いますが
見つけた情報が自分や子供と歳が離れた人の情報ならばより近い年齢を探し出したいと思う人も居られます。

症例が少ない難病指定疾患や障がいのものなら尚更。

寝たきりという同じ状態に見えても違いがあり、よく聞く疾患や障害名でも軽症から重症まで個人差が幅広く、できることや可動域(動かせる範囲)の異なるケースや年齢によって悩みが違うなど多々あります。

中には医師や看護師など医療従事者ですらも『医師人生で初めてこの疾患聞きました!』『疾患名は知っていたけどリアルでは初めて会いました!』『勉強になります!』…そんな言葉を投げかける医療従事者もいるのです。

おそらく、匿名さんも今回手にしていただいた本書に掲載されている作者の疾患名の中に、初めて知った疾患や障害名もあったのではないでしょうか?

自分が初めて当事者や当事者家族となった時、知りたいと思う情報の多くは
匿名さんが「最高度のプライバシー」と仰る疾患名や症例を公表している家族やご本人が隠さずに公表している情報がある(存在する)からこそ、
医療従事者でもわからないリアルな情報に辿り着けるのです。

私自身もそうでした。リアルであればリアルな程にその情報は助かり、先が見えて疾患や障害の受容ができました。
なので今回も疾患名等をオープンにし、あの時の私のような方に届け!と思っております。

そして地域名の掲載ですが、普通一般の生活をしている人には障がい児者の生活などわかりません。
中には今まで地域で生活していて障がい児者に会ったことがないと言う方さえも存在します。

また、当事者に深く関わっている方以外のいわゆる健常者の方々は、障がい児者がどう言った生活を送っているのか想像でしか思い浮かべることができないのがほとんどではないでしょうか?

病院や保健所からは地域に同じ疾患の人がいることなどもちろん紹介してもらえません。
(なんなら逆にこちらが情報提供することが多いです)
ほとんどの方が自力で欲しい情報にたどり着いたり、就学時などにやっと保護者同士から情報聞くのがほとんどなのです。
つまり本当に欲しい地域の情報は口コミが多いのが現状です。

自分が当事者や当事者家族となった時、地域名を掲載されていることで近くに住む同じ仲間、頑張ってる仲間や家族がいること知り、さらに一歩進んで私たちにコンタクトを取っていただければ、より鮮明な障がい児者や当事者家族としての生活情報を掴むことが可能になり、それぞれの地域特有の福祉に関する情報交換をすることが可能となります。

それ以外の健常者の方々も、同じ地域にこんな子がいるんだと言うことや、知識として頭の片隅に入れておくこともできるかと思います。

世間体を気にして昔だったら障がい者が家族にいるとひっそりと隠し通し、外に出さない家庭もあったと聞いたことがあります。
『居ないモノ』として扱われていたといいます。

しかし私たち家族にとっては『大切な存在として居る』んです。
我が家も含め、作家家族の中では親バカか!と思うくらい我が子を愛し、我が子ができる些細なことでも共に喜び、我が子のドヤ顔に思わずこちらも笑顔になるなど、決して蔑ろに扱いながら生活してはいません。

それに、本人の存在や疾患名などを伏せることで、良い思いをしたことがなく、隠す事で逆に変に詮索されたり、決めつけにあったり、得られるはずの助けが得られなかったり、ネットに有る事無い事書かれたりなどデメリットの方が多くありました。

むしろ公表してオープンにする事で周囲の認知、全国(世界)にいる仲間との出会い、できる事や可能性の発見、疾患の研究などに協力する事での医療の発展、次世代につながる制度等の改正など、デメリットよりもメリットの方が遥かにか多いのが現実だったりします。

もちろん公表する事でリスクもあるかとは思いますが、生活を脅かすまでのリスクは今までの経験上思い当たりません。

かと言って、個人情報を公表しない同じ疾患や障害を抱えている方や家族を非難する気は全くありません。

ご家庭や人により様々な考えがある、そう思っておりますし、本書に掲載されている作家家族は公表を承諾している家族だ、と言うだけです。

決して個人情報やプライバシーを蔑ろに扱っているわけではなく、少なくとも私は様々な意味で当事者である我が子や私たち当事者家族、本書を手にした同じ悩みを抱えているまだ見知らぬ方達が『前に進むため、次に繋げるため、可能性を広げるため』に公表を承諾しています。

また、本書の情報を目にした健常者の方々にもこの世の中には様々な病気や障害があると言うことを知って欲しいですし、
もし同じ疾患や障がいを持っている方が周りにいて、暗闇を歩いているような気持ちを抱えている方がいたなら、その方にとって何かヒントになることがある可能性の方が高いので『こんな本があるよ』と是非紹介して欲しい、
また、本書作家と同じ疾患や障がいがあっても様々な可能性があることを知って欲しい、そういった想いも大きくあります。

なので本書に掲載されている作家及びその家族に対して決して蔑ろに扱ってはいない、むしろ本書に掲載している作家や作家家族はメリットが多いと捉えている作家本人や作家家族が多いと言うことをご理解いただけたらと思います。

厚さの割に文章ボリュームが多い本書なので隅々まで読んでいただくのは難しいかもしれませんが
ただの作品集ではないこと、それぞれの家族やご本人がどう言う思いでこの作品を仕上げ、どう生活しているのか、
伊藤先生初め、作品以外で本書に大きく関わる人たちの様々な思いなども掲載されておりますので
機会がありましたら今一度、お手に取って隅々まで読んでいただけたら嬉しいです。

この度は貴重なご意見と気づきをありがとうございました。


M.M
貴重なご意見をありがとうございます。

何かを出品したり公開する前に娘には相談し了解をもらっていますが、公開してからの負の部分を伝えきれていたかというと不十分だったかもしれないなと反省しました。

うちはインクルーシブ教育を目指して地域の中学校に入学しましたが、コロナ禍と学校側の個人情報遵守に阻まれ、同級生や保護者に娘について話す機会がいただけなかったことを今でも悔いています。
オープンにしてこそ理解が得られると考えていたので、その機会を学校側に阻まれたことが残念でした。

わたしの弟は重度障害があり、学校は訪問籍で自宅から出ることなく亡くなりました。
弔問に訪れた近所の方が「こんな子いたっけ?」という顔をして誰からも生前のエピソード一つ出てこずに帰る後ろ姿を見て、姉であるわたしは「弟は二度死んだ」と思いました。この世からも、社会からも。
どなたかも書いてくださっていましたが、公表するリスクは承知の上で娘がこの地域で生きた証を残したかった気持ちもあります。

質問者様は個人情報を遵守する方なのでしょう。
わたしも守秘義務がある資格をもっており、個人情報が大切だということは理解しています。
個人情報をそこまで守り、守ったことで関わっておられる方にプラスになった事例があればご教示いただきたいです。
わたしにも新しい知見になります。

今後ともあたたかく見守っていただければ幸いです。
冒頭の「企画の理念には賛同しています」のお言葉に、きっとご自身と異なる考え方にも思いを馳せていただける方だろうとお見受けしました。


K.Y
ご意見をありがとうございます。
作家の個人情報の取り扱い、プライバシーへの配慮、大事なことだと思います。

今回の冊子のことだけでなく、どの場面でどの情報をどう出すか、子どものことを含めてSNSの発信をしていたり、取材を受ける立場になる身としては、常々考えていることです。

今回のアート本では、それぞれの文章を作家または作家の保護者や家族など、作家本人のことをよく分かっている人が文章を書いています。
そこに第三者の手は加わっておらず、本当に伝えたいこと、知ってもらいたいことが詰まった文章になっています。
さらに作家の在住する自治体、生年月日、障害名など本人のことが載ることで、よりリアルな情報として伝わったはずです。

この冊子は、手に取った方の行動を引き起こせるものになって欲しいと思い、参加しています。
そのためにはより近しい感じが必要で、必要な情報だったと思っています。

また、これだけ個人での発信が当たり前になりインターネットでつながった社会にあって、情報は調べれば見つけられる状態だとも言えます。
そうであれば、自分で正しい情報を出す方が良いという面もあるように思います。

うちの場合、作家本人は、病気のことも含めて〝ぼく〟だ!と言っています。
この冊子の参加に当たって、本人に意思確認もして、書いた文書も本人に見てもらっています。
発信者としてのリスクは完全には理解できていないとは思うので、いい気付きをいただいたと感じています。

ただ、発信者が気をつけるべきこともありますが、その情報を受け取った方が適切な取り扱いをしてくだされば、とも思ったりします。

この企画の理念に賛同してくださった中で、これからもこの冊子に参加された方の想いが広がったらいいなと思ってくださってのご心配だと思います。
作家に近しい人たちで楽しむものが、寄贈という形で広がり、その中で感じられる懸念だとも思います。
貴重なご意見を聞けて、また次の冊子や私たちの伝え方に活かせると思いました。
ありがとうございました。


M.K
ご意見を下さった方が、日頃障がい児者と接するうえで、プライバシーを大切に考えて下さっているのかなと思います。ありがとうございます。

今回は重度身体障害児者の視線入力アート作品集で、作品とともに作者やその周囲の保護者や支援者のストーリーも載せているのはなぜかというと、同じような境遇の方の希望となればいいなと思うからです。重度障がい児を育てていて、情報は自ら求めないと入手できません。この冊子に、あえて障がい名や居住地などが公表されているのは、同じ困りごとを抱えている方に届きやすくするためだと理解しています。

私の場合は、絵を描くなんてうちの息子には無理、アートなんて無縁と思って子育てしてきました。でも、ネットのブログで同じ障がい児の日常を知ることで、大いに参考になり日々の活力となったことは事実です。岩手の新聞に載せてもらって、それが冊子にもなって、息子の成長の証で、我が家にとって誉れです。
意思疎通は表情をくみ取る方法しかない我が子ですが、冊子を普段関わって下さっている方々へ手渡すときにはニコニコ笑顔でしたので、本人はとても前向きに参加していたと言えます。
ですので、ご心配の人権侵害が起きているとは一概には言えないと考えます。いろんなお考えの方がいるので引き続きリスクテイクの姿勢で進んで参りますので、ご支援よろしくお願いいたします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です