私の原点、草の根訪問活動と今回の反省点。。。
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この数年,いわゆる重度障害児・者をたくさん訪問してきました。その結果はEyeMoTにも生かされています。ICTは生活に生かさなければ意味がありません。まして,授業だけで使うことを目的にしたICTなんて!
さて,訪問記録のすべてをブログに書くこともないのですが,今回は大きな反省点があったので久々にアップ。
2019年11月6日夕方,盛岡での用事を終えて,在来線で盛岡→陸中折居(りくちゅうおりい)へ。オリイ?なんだか既視感のある名詞。
それはさておき,今回の訪問先は岩手県南部のエリアに住む,歩夢(あゆむ)さんという支援学校高等部3年・18歳の女の子のお家。お家の周辺は実にカントリー感満載で楽しくなってきます。
お宅に到着すると,ぞくぞくと当事者やその家族および関係者が10人くらいが集まりました。ぽけっとの会の千葉淑子さんが集めてくださったようです。すごい!
歩夢さんは,いわゆる重心さんです。私のような第三者では明確な意思は読み取れません。お母さんや担任の教諭はけっこうわかっているようですが,どうしてもそのシグナルは客観化されているとは言えません。
今回は私の手持ちの道具も限られ,まずは視線入力を試してみました。ただ,目がどうしても細く。。。きちんと目を捉えることが困難でした。
しかし,お母さんと歩夢さんとのコミュニケーションでは,視線入力をやっているときよりも目を開けていましたし,「うん」「いいえ」ではそれなりに顔を動かしているように見えました。
この顔の動きをきちんと時系列で記録を取れば,刺激や提示情報との相関が取れるでしょう。支援学校でそれができていれば,第三者の私も,それを参考にまた違ったアプローチができたかもしれません。支援学校では「客観的な記録」があまりにも少ないのが現状のようです。
ところで,今回の訪問では反省しなければいけないことが2点ありました。
1点目。スライドを使って事例を説明しつつ,少しゲームを体験してもらおうと,重心の息子さんを連れてきたお母さんにワンスイッチゲーム野球盤を勧めました。すると,お母さんは『この子は無理ですよ!こうやって手を~』とすごい勢いで拒否反応を示されました。親が勝手に「無理」と言い切ることにムッとしてしまったのです。
2点目は,スライド説明中に参加者の何人かがザワついて,きちんと聞いてくれていないように感じてムッとしたことです。たぶん,態度にも出たでしょう。
いずれも共通点がありました。野球盤を拒否した事例もスライド説明を聞いてくれなかった事例も,おそらくは「うちの子には難しい」と思わせてしまったからに違いありません。なので,当然拒否もするし興味が持てなかったのでしょう。
もっと多人数を相手にした講演では,ある程度は勢いでどんどん話せばいいのですが,少人数の場合は違います。きちんと「全員」の様子を確認しながら,かつ皆さんの興味関心を高い確度で推定していなければ,いとも簡単に場の雰囲気が崩れます。
今回集まった方々は,重心のお子さんの関係者が多かったこと,さらにはICT自体に馴染みのない方がほとんどでした。そのため,私の話す内容には「自分には関係ない」と思ってしまったのです。重心さんのコミュニケーション支援では,関係者の期待と現実の落差が度々問題を引き起こします。
きっと,期待して来てくださったのに,たいへん残念な思いをさせてしまったと,今更ながら反省。
それでも,何人かの方はとても関心を持ってくれましたし,今後もお会いすることがありそうなので,その点は大収穫でした。
また行きます!
重度身体障害児に限らず、「この子には無理!」と思う親御さんや支援者の方は多くいるでしょうが、時間をかければ、先生のお気持ちもわかってくださると思います。頑張ってください。